■国境の町、店先で遊ぶ子供たち （ワ族）　

　ゴールデントライアングルのまっただ中、西盟近くの名もない小さな町。町はずれにはミヤンマーとの国境検問所があり、検問所付近には独特の緊張感が漂っている。中国側から眺めると、ミヤンマー側にはなだらかな丘陵が広がり、ケシ畑が作られていた。中国側の民家の庭先にも白いケシの花が咲いている。バラック造りの粗末な民家の合間を歩いて行くと、川幅５ｍほどの浅い小川があり、中国側にやって来たミヤンマー人たちが川を歩いて渡って帰って行く。そこは地元民が両国を行き来するのに利用する抜け道のようだ。
　この町の中心は広場のように幅広くて短い道で、その両側に日用品を売る店が軒を連ねている。春節のためのサトウキビを売る店の前で、３人の子供たちが遊んでいた。店の奥からは煮炊きの煙が立ち昇り、散ったトランプを拾い集める子等。まるで小さな舞台を見ているような光景だった。（1996.1　雲南省西盟ワ族自治県／撮影：工藤綾子）