■神村の入り口に並ぶ少年  
(リス族)  

 怒江リス族自治州は南北に細長く、西の境界線はミヤンマーと接している。第二次世界大戦時、雲南省の昆明からビルマにかけ、蒋介石軍を支援するための道路(援蒋ルート)が建設された。日本軍はビルマから中国に入ってその支援を阻もうとして戦い、怒江辺りで玉砕する。その激しい戦闘の際、かつてこの地にあった村は日本軍によって皆殺しに遇い、生き残ったのは2,3戸だったという。のちに別の地域のリス族がここに移住し、「新建村」を作ったのだという。
 神話を語る老人がいると聞き、新建村に取材に入った。そのような歴史があるだけに、日本人に対して不測の事態が起きぬようにと、銃を携えた公安の警護がついた。我々の取材を、道路脇の高い土手の縁にぶら下がって3人の少年が仲良くこちらを眺めていた。道路の向こうで所在なげにたむろしている村人たちは、突然やって来た日本人を複雑な思いで眺めていたことだろう。(1997.8 怒江リス族自治州:新建村/撮影:工藤綾子

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