■窓から顔を出す少女　　（リス族）　　

　神話取材の合間を縫って、貢山県文化局近くのリス族の村をぶらりと訪問した。大きな吊り橋を渡った先にある村で、ほとんどが板を横に組んで打ち付けただけの素朴な造りのスレート葺きだ。家の外壁には直径５、６０�p四方の小さな窓があるだけだから、昼間でも室内は暗く、外から入るとしばらく経たないと何も見えない。２０畳ほどもある室内は中央に炉が切ってあるだけで、調度品らしいものは何もない。
　村を歩きながらふと見上げると、窓から１人の少女が顔を出していた。思わず笑いかけると、少女は奥に向かって何か言ったようだ。もう１人の年長の少女の顔が加わって、にっこり２人で笑い返してきた。（199７.8　怒江リス族自治州：芒孜村／撮影：工藤綾子）