■お茶のもてなし　　（ワ族） 　 　雲南は中国でも有数のお茶の産地だ。山奥の痩せた山の急斜面にも茶畑はあって、家族総出で茶摘みをしている光景に出会うことがある。 　少数民族の家に行くと、決まってお茶を出してくれる。お茶を入れてくれる器は、ガラスビン、ガラスコップ、ホーローカップなど。この写真にはそのどれもが揃っている。ガラスコップは縁が割れていたり、ガラスビンの口は錆び付いたフタの錆が茶色にべったりと付いていたりする。 　飲むときは、お茶が熱いうちに縁から地面にお茶を流し落し、そこから口を付けて飲む。いわゆる熱湯消毒だ。最初は失礼かもしれないと気が引けたのだが、都会である昆明（雲南省の省都）から同行する中国人や運転手さんもせっせとやっているから、私たちも気にせず励行している。こういった消毒作業は、街道沿いの小さな食堂でもやる。アルコール入りウエットティッシュで拭くのも効果的だ。その消毒作業の結果か、いままで辺境地の旅先でお腹を壊したことがない。 　少数民族の家で出してくれたおやつには、そば粉の蜂蜜掛け、芋のスープ煮、茹で落花生、クルミ、ひまわりの種などがある。少数民族の人々は、概して遠来の客を非常に温かく迎えてくれる。数時間の取材のあと帰ろうとする私の腕を取り、「晩ご飯を作るから泊まっていきなさい」と離さなかったチュワン族のおばあさん。もう一度会いたいと思いつつ、叶わないでいる。（2002.9　雲南省西盟岳宋村。撮影：工藤綾子）

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